デニスブラウン装具の重要性と内反足の再発について

先日のエントリで娘ちゃんのデニスブラウン装具(以下、DB装具)着装時間が減ったと記載しました。
その関係でDB装具と内反足の再発に関する論文に辿り着いたので、
本エントリで簡単にまとめたいと思います。
医学系の文献は、言ってる事が難解でかみ砕くのもやや大変です。
また、有料資料が多いので素人が見れる文献は、ほんの少しだけ…。
少しでも参考になれば幸いです。

■参考文献

2009年 整形外科と災害外科 58巻4号
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishiseisai/58/4/58_4_533/_article/-char/ja/

■ざっくり概要と結論

男児8例11足、女児6例10足について治療成績を検討したもの。
併せて、DB装具着装時間と再発傾向について検討を実施。

【DB装具装着時間】
  良好:歩行開始まで終日、歩行開始後は夜間装着
  不良:良好条件の着装時間が1/2以下

使用状況症例再発追加手術
良好113 (27.3%)1
不良106 (60%)4

DB装具の装着時間が「不良」のケースに再発率が多い事が認められた。
同様の結果をHaft, GFによる前向き調査で得られている。
また、Morcuende, PhDはDB装具の着装不良が危険因子であると結論づけている。

■もうちょっと詳しく条件

Ponseti法で治療し、2歳以上に達した症例を追跡
全例において、週1回平均6回の徒手矯正・ギプス固定後、アキレス腱皮下切腱を実施
DB装具は「歩行開始までは終日、歩行開始後は夜間装着」とし、
屋外では左右逆履きを励行。DB装具の必要時間1/2をcompliance不良とする。

■もうちょっと詳しく結果

変形再発:
 計9足に再発を認めた。内訳:内旋歩行を8足、尖足を1足
 ※内旋歩行:いわゆる「内股歩き」
  参考:http://kodomoseikei.com/home/archives/2005/09/post_3.html
追加手術:
 計5足
  後内側解離術:2足(1歳児の初期矯正不良1足を含む)
  後方解離術:1足
  内外側解離術:2足
DB装具着装遵守結果:
 良好11足、不良10足
 良好例では、再発3足。不良では、再発6足。

使用状況症例再発追加手術
良好113 (27.3%)1
不良106 (60%)4

■症例

生後9日目にPonseti法治療を開始
初期矯正は良好で1歳で歩行開始
歩行開始後、夜間数時間のDB着装に悪化
1歳7ヶ月頃に内旋歩行が出現
2歳時には、明らかな内転変形が再発

■参考論文内での結論

再発32%、手術28.3%
再発が多いと考えれられる原因因子
アキレス腱切腱をしない例
歩行時に内旋歩行をする例
DB装具の着装時間が不足する例
再発は3歳までに生じる為、3歳までの装具使用を推奨

■参考論文内で参考にした論文と概要

Haft, GFの文献( https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17332096)
 51例73足のPonseti法治療を追跡調査
 51例のうち、21人(重度12人、軽度9人)に再発があり、装具良好では重度3人のみの再発だった
 適切に装具を使用しない場合、再発リスクが5倍高くなる結果だった
Morcuende, PhDの文献(https://pediatrics.aappublications.org/content/113/2/376)
 157例のPonseti法治療を追跡調査
 再発は内反足の重症度や治療開始時期は関係なく、
 DB装具のcompliance違反が主な原因と結論づけている。

[追記:Twitterでの情報提供]
J-STAGEの引用文献1)の文献にはデニスブラウン装具のnoncomplianceに加え、
両親の最終学歴(高卒かそれ以下)が子の内反足再発に関係すると結論づけがあります。

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